街中を歩いていると、ボディにさまざまな文字やイラストなどを表示した車が駐まっていたり、道路を走行していたりするのをよく見かけます。目にする機会が多いのは社名やロゴマークなどをあしらった営業車両ですが、他にも図案化された炎などを描いたスポーツカーや、アニメのキャラクターなどを大きく描いた自家用車など、いろいろなタイプのデザインがあります。こうしたデザインは以前はボディに直接ペイントしていましたが、現在ではラッピングが主流となっています。ラッピングとは、粘着性のフィルムシートを貼って車体を覆うことをいいます。
シートはデジタルプリンターで印刷するので、文字やイラストのほかに写真なども使用することができます。直接ペンキで描くよりも手軽で、豊富なカラーや高精細なデザインを再現できるというメリットがあります。もちろん無地のシートを貼ることもできます。剥がした後に別のシートを貼るのも簡単なので、人が洋服を着替えるのに近い感覚で多様なカラーリングやデザイニングが可能となります。
このラッピングはいろいろな目的で利用されています。たとえばイベント車両などはその好例です。イベント車両はコンサートや展示会、お祭りなどのイベントを宣伝するために車体を広告媒体として活用する車両ですが、たいていのイベントは期間限定で行われるため、終了すれば用済みとなります。そのため、毎回ペンキで直接描いていたのではかなりの手間となります。
しかしラッピングを利用すれば簡単に広告内容を変更できるため、イベント車両を専門に運用する場合はもちろん、営業車を一時的にイベント車両に転用する場合などにも便利です。